大学生の頃だったでしょうか、知り合いがこんな話をしてくれました。
「以前から憧れていたある有名な経営者の方と話をする機会を得てね。その時、こんなことを言われたんだ。君にどうしても勝てないものがある、何かわかるか?と。」
この問いに対して、知り合いは「将来性」と答えたそうですが、この経営者の方は「若さ」や「未来」といった類の言葉を求めていたようだった、とのことでしたから、知り合いが答えたことは求められた“答え”としては正しかったと言えるのではないでしょうか。
しかし、若いうちは「若さ」を消費、浪費と書いた方が良いのかもしれませんが、無駄にしてしまっていることが多々あるように思います。その際、「今しかできないことだから」は良くも悪くも免罪符的な言葉として用いられている気がしますが、その「今しかできないこと」というのは本当に「今しかできないこと」なのか?を若い頃に考えられるかと言われれば、実際にはなかなか難しいですよね。大人達は「将来のことも考えて」と言うけれど、そう言っている大人達の皆が皆、若い頃から本当に将来のことも考えて行動していたとは思えないし、事実として皆が皆そうしていたとは言えないと思います。その時その時で楽しいことをやって、「あぁ、あの時、大人達が言うように○○しておけば良かった」と思っている人も少なからずいるでしょう。そうした自身の思いが、若い人達への「将来のことも考えて」に繋がっているのでしょうが、まぁ何と言うか、若い人達の立場からすればおかしなものですよね。おかしいんですけれども、そういうものと言えばそういうものなんです、大人になってから気付くこともありますから。
僕は塾を運営している立場ですから、「若いからこそ勉強しておいた方が良い」と“模範解答”を書いておくのが正解かもしれません。ただ、“模範解答”だからではなく、“実際にわかいうちにやっておいた方が良い”と最近つくづく感じています。
仕事をしていたり、家庭を持っていると、自分の思うように時間を使えるばかりではなくなります。それに加え、若い頃は親がやってくれていた身の回りのことを自分自身でやらないといけませんから、限られた余暇の時間を休息と学びの時間に振り分けることになります。年齢が上がれば上がる程体力的に衰えていきますし、それより何よりも気力が続かないと思います。「必要な時に必要なことを学べばいい」なんて思っていても、それだけ体力的、精神的に続かないことが多くなるのです。
若い頃に学んだことがそのまま生かされる仕事をできる人は、割合で言えばかなり少ないと思います。とはいえ、若い頃に学ぶことが決して無駄にならないのは、多くの知識に触れることにより、物事をより広い視野で見られるようになることにあると言えるでしょうか。俯瞰力をつける、と表現するとしっくりくるかもしれません。それだけにとどまることなく、あらゆる知識の原点として、とりわけ義務教育課程での学びは大切です。夢中になれる何かを若い頃に見付けることができれば、それはそれで幸せなことだと思いますけれども、若い頃に大いに学ぶことは人生の糧になることもまた真であると思います。
過去に“若い頃に勉強しておけば良かった?”という記事も書いています。良かったらこちらもご覧ください。「若い頃に勉強しておけば良かった」と言う大人はたくさんいますが、「若い頃にあんなに勉強しなければ良かった」と言う大人はほとんどいませんよね?これが意味するところを考えると、若い頃に、若いからこそ学んでおくのが賢明だろうと思わずにはいられません。